凪良ゆうさんは、10年以上BL作品を描き続けてきた作家さんです。
そんな作家さんが一般文芸で受賞した作品って気になりますよね!
今回は『流浪の月 [ 凪良 ゆう ]』のあらすじやネタバレ、そして結末や感想について紹介します。
著者、凪良ゆうさんのプロフィールについては、こちらをご覧ください。
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Contents
流浪の月の登場人物紹介
佐伯文 : 更紗が9歳の頃、近くの公園で読書をしていた19歳の男性。小児性愛者。
亮 : 24歳になった更紗の彼氏。同棲中。DV癖がある。
梨花 : 更紗のバイト先の娘。8歳。
谷 : 34歳になった文の彼女。
孝弘 : 更紗の叔母の息子。更紗に性的暴行をした。
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流浪の月のあらすじとネタバレ 少女時代
流浪の月の主人公は、家内更紗という9歳の少女です。
更紗は両親にとても愛されて育てられました。
(彼女は、奔放な家庭で育てられたこともあり、柔軟な考え方を持っています)
しかし、父親の死後、母親は他の男と消えてしまい、ひとり取り残されます。
そんな更紗を引き取ったのは伯母でした。
その伯母の家庭環境とこれまでの環境の価値観の違いに、更紗は居場所のない生活を送ることになりますが、伯母の息子(中学生)から性的暴行を受けます。
そんな時更紗は、公園で19歳の青年、佐伯文と出会います。
佐伯文の病気・病名は何?
実は文も居場所をなくしており、公園でひとり読書をしていました。
文は、マニュアル通りの子育てをする母親の元で育てられました。
そのため「こうあらねばならない」という気持ちになってしまいます。
ある時、文は、自分と周りの子たちとの違い(二次性徴が現れないこと)に気づき、自分に関することを隠して生きるようになります。
第二次性徴が現れないことに関しての具体的な病名はありません。
第二次性徴(だいにじせいちょう、英: Secondary sex characteristic)は、体全体での生物学的性差である。性的に成熟する過程で雌雄の形態の差を生じる現象は性的二形といわれ、多くの生物に見られる。ヒトにおいては、当初は第一次性徴のみの外形的性差が見られ、タナー段階では男性器(男性)・乳房(女性)・陰毛(男女とも)が現れ、生殖能力は持たないが、それ以降はその発達成熟に伴って第二次性徴が発現し、生殖能力を持つようになる。第二次性徴の発現が始まり、子供から大人の身体に変化している期間を思春期と呼ぶ。
引用元:Wikipedia
佐伯文の病名が気になる所ですが、『第二次性徴が現れない≒思春期遅発症』、もしくは『カルマン症候群』の可能性が高いです。
▽カルマン症候群
本疾患では嗅覚の低下が見られ、剖検例では嗅球形成不全が認められる。また、第二次性徴はほとんど見られない。本疾患は、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)が遺伝子異常により合成されないためにおこる。成長ホルモンは正常に分泌されるため身長などの発育は正常であり、そのため病識がない患者も多い。
出典:Wikipedia
佐伯文の病気・病名は何?
→、『第二次性徴が現れない≒思春期遅発症』、もしくは『カルマン症候群』の可能性が高い。
しばらく日が立って、文は更紗を自分の家に誘います(更紗はついていきます)。
更紗は、ここで久々に自由になれます(と感じます)。
こうして、更紗と文のひっそりとしつつも穏やかな生活が始まりました。
しかし、そんな生活も長くは続きません。
9歳の少女との生活がバレて、「家内更紗ちゃん誘拐事件」としてニュースになります。
文は少女監禁罪で逮捕され、更紗も養護施設に入れられることになります。
2人の間には性的関係がなかったのですが、世間は19歳の青年が9歳の少女に何もしないはずがないと決めつけます。
そして二人は社会によって、引き裂かれるのでした。
流浪の月のあらすじとネタバレ 24歳になった更紗
あの事件から15年。
更紗は24歳になり、ファミレスでバイトをして生計を立てていますが、場所を変えても事件の被害者として扱われる更紗は、居心地が悪い生活を強いられています。
ある日、偶然立ち寄ったカフェで、34歳になった文と再開します。
更紗は彼氏と同棲をしていますが、その彼にはDV癖があったので、更紗は文の家に逃げて、文は隣の部屋に住むことになります。
流浪の月の結末
文は経営していたカフェをたたみ、更紗とともに暮らし始めます。
事件の”容疑者”と”被害者”の2人。
どこにいってもそういう扱いを受けてしまいますが、2人はそれでも前を向きます。
今2人は、長崎でカフェを経営しています。
ここ(長崎)でも居場所がなくなったら、2人はどうするのか。
それは、2人の結末のやりとりでわかります。
「ねぇ文、今度はどこにいく?」
「どこでもいいよ」どこへ流れていこうとも、ぼくはもう、ひとりではないのだから。
『流浪の月』の世間の感想
面白かったです。テーマはよくあるアイデンティティモノなんだけど、特殊な状況、特殊な関係の二人が、多様性時代の闇みたいな部分をまあ、ありあり見せてくれます。表題の『月』は、他人から見た自分の影というより、自分から見た自分の影なんだと理解しました。
「でも多分、事実なんてない。出来事にはそれぞれの解釈があるだけだ。」 読んでいてこの意味をまざまざと感じた。ある出来事には当事者にしかわからないこと、当事者でさえわからないこともあるかもしれない。それでも周りの人々は「善意から」わかったような顔をして批判し、擁護する。みんなそれぞれが自身の解釈を事実と信じているのだろう。信じているものが事実かどうか、それを知るのは難しい。当事者が口を開くかどうか。口を開いたところで、それを広く社会が信じるかどうか。社会が広く信じたものが「真実」として作られる。
誰しも大なり小なり色々抱えて生きていて、視点によって世界は変わる。それぞれの事情がある。でも、だからといって、自分が傷つけられて良い訳じゃない。
言葉にできる関係だけがすべてではない。他人の持つ、正しいという自負が透けてみえるような「優しさ」。社会のなかに当然のようにある「思いやり」とかいうものに苦しめられる更紗。更紗や文が過去を知る社会から完全に逃れることはできなくても、生活は続いていく。真実と事実は違う。伝わらない、理解され得ないことに読んでいて苦しくなったけれど、それでもふたりがふたりでいられるのなら。
凪良ゆうさん、初読み。上手い! BLが中心らしいけど、他の作品も読みたい。本屋さんで苺アイスの表紙に一目惚れ。図書館ではすでに予約待ち多数。期待にハードルが上がっていった。でも、裏切られなかった。
まとめ
今回は、『流浪の月』のあらすじやネタバレ、そして結末や感想について紹介ししました。
私はこの本を読んで、「自分の本当の気持ちを知ることの大切さ」や「自分が幸せになること」、そして「たった一人でも信じてくれる人がいれば、それだけで生きていける」ということを感じました。
大人になるにつれ、”本当に信頼のおける他人”は減っていきますが、最後にたった一人でもそういう人がいれば、自分自身の人生は救われるのかもしれないと思うことができた感慨深い作品でした。
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